全日本女子サッカー選手権大会東北予選2日目
準決勝:vs聖和学園高校
「公式戦を戦うこと」、それは勝負のかかった、または次のステージへの出場権のかかった負けられない状況でのプレーを経験すること。それは練習ゲームとは違った意味での緊張感のある厳しい状況下でのプレー。相手も絶対に勝つんだという気持ちでいるため、執念や執着心をともなったプレーで向かってくる。己の心にかかってくるプレッシャーをコントロールして、相手の強いプレッシャーを回避して攻撃を組み立て、ゴールに向かうこと、こちらも勝負への強いこだわりをもって相手ゴールを奪う、守備時には相手の攻撃を止め、ボールを奪いに行く。それが公式戦を戦うということ。選手としての成長には欠かせない貴重な機会。練習ゲームでやることと変わるわけではないけれど、ゲームシチュエーションという意味ではやはり違ってくる。そんな機会をひとつでも多く得るために掴み取るために、自らの力を最大限に発揮して、公式戦を勝ち進んでいくことは大切なこと。
大切だったことはとにかく「こだわること」。ボールを奪われたら奪い返すという気持ちと実践、攻守の切り替えの速さ、ゴールを決めること、ゴールを守ること、こういったことにこだわることが勝負にこだわることにつながる。
ボールを動かし、攻撃を組み立てながら、でも攻撃の優先順位は忘れない。何のために組み立てがあるのか。それを理解して常に意識していれば自ずと観るものも変わってくる。相手のラインの位置を観て、高かったら背後のスペースが狙いやすくなる。観ておくこと、そして狙うこと、タイミングよくアクションを起こすこと。1点目はそんな考えから生まれた。DFの亀岡からのパスをFWの菅澤がヘディングで決めた。1点目の後は攻撃するがなかなか得点にいたらない時間帯が続く。2点目は右サイドからの低いクロスをFWの浜田がタイミングを図って走りこんで決めた。相手DFとGKの間に速いクロスを入れる、中の選手は待って止まった状況でボールを受けるのではなく、タイミングよく、そして瞬間的なスピードアップでDFを引き離してペナルティエリアに進入し、スピードをゆるめずシュートをうつ。タイミングよくということは観ておかなければできない。組み立て(ポゼッション)とはスピードアップのタイミングを作り出すこと、そのタイミングを逃さず、そして共有すること、そのためにあるということを忘れない。そして大切なのはゴールを奪うためのテクニック。シュートやクロス、動きながら、観ながら、トップスピードで相手DFもいる状況で発揮できるテクニック。
そして3点目は、残り10分で投入された中2の成宮がペナルティエリア付近で横パスを受け、小さなステップで相手をかわして豪快に決めた。組み立てて相手ペナルティエリアまで進入、相手の隙を付いたスペースでボールを受け(ボールを運び)、観てコントロールでかわしてシュート。ゆっくりではなく一連の動作でスピードを落とさずプレーすると得点の可能性は大きく広がる。結果3-0で勝利。全国大会への切符を手にした。
決勝:vs常盤木学園高校
午前中の試合に勝ったということは、全国の切符を手にしただけではなく、緊張感のあるハイレベルのゲームをもうひとつ経験できるステージに進んだということ。なでしこジャパンに招集された選手を初めとして、年代別の代表選手を要する育成年代では全国トップレベルのチームと真剣勝負ができる。
我々はどんな戦い方をするのか。試合前のミーティングで選手に問いかけ、選手たち自ら答えを導き出す。トレーニングでトライしている組み立てのテクニック・判断力・そしてスピード(動きのスピード、判断のスピード、ハイスピードでのテクニック、タイミングを逃さないという意味でのスピードなどが含まれる)が相手の組織されたハイプレッシャーにどれだけ通用するのか。それをトライすることも大切なこと。しかしそれだけではない。ゲームをどう戦うかという観点では、相手の状況を良く見てプレーを選択することがより重要となってくる。相手が高いラインで、前から人数をかけてスピードを持って奪いに来たときにどこが隙になってくるのか。相手はどこを狙われたら嫌なのか。相手の狙いの逆を付くためのテクニックは。そしてそのために狙っておくところは。アップ前にゲームをイメージする。そして整理する。
そうやって臨んだゲームであったが、相手のハイプレッシャーに押されてしまうゲームとなった。ボールを持ってから選択肢を探したのでは遅い。ボールを受ける味方に対して選択肢を持たせる。そのアクションを起こすタイミングを逃していてはボールは動かない。失ってしまう。そして相手の「強い・速い」プレッシャーを回避する動きながらのテクニックの質。攻撃の優先順位。相手の隙はどこにあるのか。そのスペースに狙いを持っておく、アクションを起こしていく。理解はできているが、スピーディな展開の中で実践することが難しい。まったくできないわけではない。しかし実践する回数が少ない。
そして、相手のDFラインの背後をついて、ゴール前に進入する際の人数が少ない。組み立てをフィールドのどの位置で行なうと有効なのか。守備においては、ゴール前の厳しさ。ゴールを守るための守備力。1vs1の対応だけではなく、危機回避のための明確なプレー。これらのことを大きな課題として感じることができたゲーム。結果は0-6。
しかし成果もあった。アカデミーで実践している動きながらのプレーを続ける力。後半になっても、運動量が落ちない。テクニックの質が落ちそうになっても、注意喚起するとまた質が上がってくる。自ずと支配率が上がってくる。良い意味で後半でも前半同様のプレーができた。
ゲーム後全員で確認した。ピッチでプレーした選手も、ベンチでゲームを観た選手も、そしてスタンドでゲームも観た選手も。大切なことは、ハイレベルなゲームを経験できるステージが今後もあるということ。自分が感じたことを振り返り、トレーニングという場で行動に移すこと。U-15カテゴリーの選手たちには、同様の大会が11月にもう一度ある。トレーニングで向上させたことを実践する場がある。向上させるために何をやるのか。そんなことを確認して、舎監のお父さん、お母さんが待つ寮への帰路についた。
コーチ:坂尾美穂











