JFAアカデミー福島

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2008年03月26日

フランス遠征11日目

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デュソー氏に連れられフランス代表のトレーニングを見つめる。まったく同じシーンをcanal+のDVDで見た。まだベナファやディアビがINFにいる時である。同じようにフランス代表が合宿をしていて、彼らINFの生徒たちは昼食と自分たちの練習の合間に見学をしていた。デュソー氏が急いでグラウンドに降りようとする子ども達を制して見学場所を指定する。アカデミーの子ども達は誰一人我先に行こうとするものはいなかったが。
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シセ、メクセスと
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左から、フラミニ、マルダ、アネルカ、リベリ、ギャラス、マケレレ、エブラ
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左から、クペ、ランドロー、GKコーチ ブルーノ・マルティニ
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左から、ドメニク、マンコフスキー
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試合前のミーティングでは、いつもどおり厳しく具体的に確認をする。とにかくポジショニングをしつこく確認する。中盤が前線にくっつかない。前線に人数をかけるから得点が取れるわけではない。攻撃の組み立てでも、守備のボール奪取でも中盤に人数を多く割く。中盤が前線にくっつきすぎて、ディフェンスからの組み立ての際に5トップになってしまいパスコースが少なくなるのを防がなくてはならない。前線の3人はすぐに高い位置からボールを奪いに行くのではなく、まずチーム全体でコンパクトブロックを形成し、相手に横パスを出させる。ディフェンスの背後をついてくるような縦パスは出させない。しっかりとボール保持者に寄せる。寄せる相手はサイドバックである場合が多い。前線の3人が一列に平行に並んで守備をしないように心がける。一本の縦パスで3人が突破されることがないように。攻撃においては、足元への要求とディフェンスの背後に要求する割合に関して後者を多くする。アカデミーの攻撃陣はとにかくスピードアップに課題がある。ボールをコントロールすると減速してしまい、相手においつかれる。まったく逆のことを行う必要がある。ディフェンスの背後を突くランニングを15回繰り返せば、相手が1回はついてこられないときが来る。それを活かす。ディフェンスラインは中盤との距離を開けすぎないこと。ロングボールに関しては常に注意深く、一人が競ったらもう一人はカヴァーリング。サイドバックの対応も同じ。縦にスピードに乗らせてはならない。逆サイドで展開されているときこそ、スライドとカヴァーリングを。スライドは早すぎてはいけない。逆サイドから上がるプレーヤーもケアしながら。
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日本フットボール史に残るであろう歴史的一戦をむかえた。フランス国立フットボール学院 対 JFAアカデミー福島。どちらも育成方法は同じであるが、文化、伝統、歴史など育ってきた背景が異なる。
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試合開始5分はアカデミーが思いのほかボールを回しリズムをつくる。しかし、一度ボールを失うと、奪い返すのは並大抵ではない。無意識に体得している組織力とトレーニングで体得したそれ、ハイレベルなリーグ戦でそれを活用し続けている習慣が大きな大きな差となり、アカデミーの組織を蝕んでいく。3人、4人とボールを回しスピードアップする技術は日本で体感したことのないものであった。闘っている選手達は、ボールを奪えるときが来るのだろうかと錯覚を起こしたに違いない。
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そうはいっても、相手もミスは起こす。それはアカデミーの組織守備が機能している証拠でもある。奪ったあとは、爆発的にしかけていく。相手が攻め込んでいる状況なので、ディフェンスの背後は大きなスペースが空いている。ただし、そういった攻撃は個への比重が高くなり、INFの最後の壁を越えることはできない。
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ハーフタイムのミーティング。少しでもボール保持者に寄せるのが遅れると失点につながる。それをハイレベルに痛感した前半だった。20m強のミドルシュートを見事に決められたのだった。デュソー氏も闘っている。ジーコがワールドカップでブラジルと対戦したように。自分のフットボール哲学が国を超えて伝わり浸透することを証明しようとチャレンジしている。フットボールの本質は不変で普遍であると。フランスもアルゼンチンもどの強豪国も根底に持っているものを。69歳のチャレンジは既に日本フットボール史に大きな影響を及ぼしている。私はデュソー氏の通訳であるが、日本フットボールの歴史を背負った少年達がINFという巨人に対して一歩も引かずに立ち向かっている姿を見て、一人の歴史の証人となっていることも確認した。フットボールが日本に伝わってから現在に至るまでの先人の努力を引き継ぐ者として涙をためながらフランス語を日本語にして選手達を鼓舞し続けた。
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前半と大きく変わったのは、相手ゴール35m付近からスピードアップを仕掛ける回数が増えたことだ。裏への飛び出しがチャンスを創り始める。ディフェンスラインが高い集中力を見せ、中盤が縦横無尽に走り回り、パスコースをつくり続ける。チームブロックがある程度高い位置をキープできるようになり、フォワード陣が確信を持ってスプリントを繰り返す。ボールが通ればシュート、センタリング。惜しい場面が何度か続いたが、フリーでシュートをうてた場面は後半でゼロに等しかった。
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試合後、アカデミーのゲームを観戦していたベナファと写真を撮る。しかし、選手たちは負けた事が悔しくてそれどころではなかった。スーパースターとはわかっているが、自分たちの敗戦、位置を一生懸命消化しようとしている。
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クレールフォンテーヌを重い足取りで後にし、ホテルで夕食をとり、スタッド・ド・フランスでフランス対イングランドを観戦した。午前中に出会ったスーパースター達が国歌を聞く表情、態度は、あのクレールフォンテーヌでトレーニング後に引き上げてきたものとは少しも似ていなかった。リーグ戦、カップ戦の終盤、ユーロ2008の準備とはいえ、彼らは国を代表して闘う重みを無言で表現する。午前中は一緒に写真を撮るほどに近い存在であったが、グランドで闘う彼らを見てふと思う。そこまでたどり着くのは、どれだけの努力が必要であろうか。
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声援を送るフランスサポーター
 
文:樋渡 群

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