JFAアカデミー福島

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2006年05月31日

布啓一郎技術副委員長

b060531.png一つ一つ丁寧に言葉を紡ぎだす。元市立船橋サッカー部監督の布啓一郎氏である。アカデミーの子どもたちを前にしてプロ選手になるための心構えを話す。「いくら、テクニックがあったって、向上心がない者はプロになっていない」多くのプロ選手を輩出して、選手の傾向も熟知している布氏ゆえの発言である。U-16日本代表監督時代、フランスのモンテギュー国際大会で日本は初優勝を飾り、世界の度肝を抜いた。日本人が世界で通用することを証明した。その結果に満足することなく、さらに質の高い技術を身につけるため中学生年代の指導カリキュラムも検討している。最後に布氏はこう締めくくった。「みんなは将来上手くなりたいと思っているよな。でも、将来ではだめだ。今、上手くなりたいと思え。その気持ちを持って毎日一歩一歩進んでいくことが上手くなる秘訣だよ」

2006年05月30日

マダムデュソーによるフランス語講座

 INFクレールフォンテーヌ時代のティエリ・アンリの国語も教えていた、デュソー氏の妻、二コルさんがアカデミースタッフのためにフランス語を教えてくれている。スタッフのどうしてもフランス語で直接会話をしたい、という要望から実現した。マダムはアンリだけでなく数多くの生徒に補習授業を行った。一度やったことを理解していないと厳しいお叱りの言葉が飛ぶ。スタッフは笑って流すが、心では泣いている。和気藹々とした授業にも厳格さを織り交ぜて生徒の集中を途切れさせない、フランス教育の一端を垣間見た。
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2006年05月29日

藤本トレーナーから

 アスレティックトレーナーの一日の仕事を時系列的に並べてみました。


・起床後の体重、脈拍チェック
・メディカルチェックシートの確認

練習前
・練習前別メニュー組みの状態チェック
・学校で体調不良やケガなどした選手がいないかの確認

練習中
・いつもと様子が違う選手はいないかを見る
・ケガをしている選手に対する別メニュー
・ケガ人が出た時の対応
・練習中のストレッチ
・水分補給
・クーリングダウン

練習後
・練習でケガをした選手がいないかのチェック
・アイシングやストレッチなどのセルフコンディショニングの指導


・メディカルチェックシートの配布

 トレーナーの役割は選手が自分で体調管理できるようになることだと考えています。
 メディカルチェックシートは睡眠時間がどれくらいとれば調子が良いのか、どのくらい食事をとっているのか、疲労感はどのくらいあるのかなどをチェックしています。どんな時に自分のコンディションが良くて、どんな時に悪いのかを知ることで自分自身の生活リズムを把握でき、修正できるのではないかと考えています。チェックシートにより自分の体と対話するようにします。疲労がたまっている時の回復の手段(交代浴など)や休日の過ごし方(12分程度のランニング)なども少しずつ教えています。良い選手はケガが少ないと思います。常にピッチに立ち続ける事が上達への近道なので、練習を休まずに続けるには日々の疲労をどれだけ回復させて練習に臨むかが重要だと思います。疲労がたまった状態ではケガをする可能性が高くなります。そこで次の練習までに回復できるよう、しっかりとした水分補給、クーリングダウンやストレッチ、アイスマッサージなどをするよう指導しています。
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2006年05月28日

お国自慢プレゼンテーション大会

 生徒がゴールデンウィークに帰省した際、「故郷の自慢をするための資料」を集めてきてもらった。自分が住む地域の特産品、行事、遺跡などに関する情報を積極的に収集し、皆の前で発表する。今日で4人がプレゼンテーションをしてくれた。ある生徒は小松菜を栽培している農家の方に1時間もインタビューした。あるものは、わざわざ落花生を持ってきて味見させてくれた。このお国自慢大会の目的は5つある。
 1.個人から家族、友人、地域へと意識を広げる
 2.故郷をより深く知ることで郷土愛が芽生える
 3.郷土を愛することで自分の運命を受け入れる
 4.長い歴史の延長に自分を位置づける
 5.故郷への恩返し
 最近本当に悲しいことだが、あまりにも安易に「海外へ」若者が浮遊していく。あっちの水は甘いぞ、年中暖かいぞ、等々。それぞれが自分の都合で動いている。一度ある場所に生を受け、そこで育てられたからには、何かしらの価値をもたらそうと試みるのが社会の正循環である。夢と同じで、与え、与えられる関係を積極的に創り出そうとする人間がエリートと呼ばれる。

2006年05月27日

育成は山あり谷あり

 思春期の定義は「精神状態が不安定」であること。つまり、笑いがあるかと思えば、急に悲しんでみたりするのがこの時期の特徴である。コーチが忘れてはいけないのがグランウド上でのプレーも同じであるということ。子ども達はもちろん、常に上手にプレーしようと努力する。しかし、13歳~15歳の間は失敗の連続なのである。いつも向上し続けるとは限らない。精神を一定に保つことが難しいので、いらいらし始めたり、やる気が出たりを繰り返す。人によってその周期には差がある。こうした精神の波を経て子ども達は個を形成して大人になって行くのである。青少年は大人として扱われることを望んでいる。つまり、大人として考えてよいのだが、子どもとして見守ることは忘れるべきではない。

2006年05月26日

テクニック+持久力は15歳までに!

 アカデミートレーニングのベースはテクニックを磨くことであるが、同時に持久力も向上させる。スピードについては先天的なものが大きく左右するので、トレーニングを重ねたからといって急激に伸びるものでもない。15歳までは有酸素能力が大きく向上し、それ以降、伸びはほぼ平行線をたどる。テクニックはボールを使った反復練習を行うことで身につき、持久力はある程度の心拍数を維持すればよい。アカデミーのエクササイズではよくインターバルメソッドを行う。一つの例を挙げよう。13mのドリブルから壁に向かって7mのパスを出し、返ってきたボールをコントロールターンしてまた最初の位置までドリブルして戻る。往復26mは全力ダッシュ。5秒間ボールに触った後15秒の休みを入れる(人数で調整する)。20秒に1回はドリブル、パス、コントロールがトータルで含まれており、1分間で最低3回。10分間で30回はボールに触れる機会があり、心拍数も150以上をキープしている。もし、これが5秒ボールに触れ、55秒のレストを入れたエクササイズになると、10分間で10回しかボールに触れる機会がないし、1分間のうちに心拍数がかなりダウンしてしまい、反復練習にも持久力トレーニングにもならない。疲労した中でも正確性は維持できなければならないし、限られたトレーニング時間を考慮すると、テクニックと持久力を別々に分けるやり方は得策ではない、と我々は考える。
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2006年05月25日

中間試験準備

 国語、社会、数学、理科、英語それぞれの科目に担当スタッフがついている。アカデミーコーチ陣は教員免許を取得している者がほとんどである。日頃から学校でわからないことは補足説明して理解を促している。中間試験に向けても予想問題をつくり準備を進めた。我々のスタンスは良い点をとることにない。正確な理解を求めている。試験は習熟度を測るためのものに過ぎず、点数で生徒間の優劣がつくものでは決してない。人間は平等に創られていない。背が高い者と低い者がいるのと同様に、理解が速い者と遅い者がいる。ただし、「理解」が「背」と違う点は時間とは関係なくその目標点にはいかなる者も到達する可能性があるということ。繰り返しになるが、勘で答えて正解になったとしても、アカデミーでは認められない。答えを導くプロセスこそが大切なのである。歴史で言えば、年号と事件をひたすら覚えても、歴史を理解したことにはならない。歴史はまさに原因と結果の産物であり、プロセスを学び未来を予測することに意義がある。つまり、より重要となるのは試験後。自分が納得して答えを導き出せるまでスタッフは生徒を離さない。

2006年05月24日

第49回福島県中学校体育大会陸上競技大会相馬・双葉支部合同予選会

b060524.png 広野中学校を代表しての参加であるが、同時にアカデミー生の一人でもある。陸上選手として育てているわけではないので結果はどうなるかわからない。しかし日頃のトレーニングでボールを使用しつつ持久力トレーニングも行っているので心肺機能は日々向上しているはずである。アカデミーのメソッドがどの程度の効果を生み出しているか知るには良い機会かもしれない。大会で記録されたデータは今後VMAと共に貴重な資料となるであろう。

2006年05月23日

スタッフ合同ミーティング

 デュソー氏は「我々はフィロソフィーを同じくした一つのチームである」と切り出した。サッカーのチームと同じで誰一人として欠けてはならない。男女スタッフが合同でミーティングを行うのは今回が初めて。議論の焦点はグラウンド上よりもグラウンド外に自然としぼられる。なぜなら朝6時から夜10時の16時間のうちグランドに立つのは約2時間しかないからである。1日のうち87.5%はボールに触っていない計算。寮生活は選手と寝食を共にする。問題が無いほうが問題である、とはデュソー氏の言。今回の情報交換で問題に対するアプローチの違いが明確になった。共同生活で起きる問題の解決方法は一つではない。お互いが足りない部分を埋めあうことを約束した。次回は女子寮で行う。

2006年05月22日

雨天場

 広野町二つ沼総合公園内には「多目的広場」と称される屋根付きの人工芝グラウンドがある。縦40m×横20m程度。芝は広野町グランドとまったく同質である。普段は広野町民のみなさんの憩いの場で、土日は家族がピクニックをしている。公園内にあることから、アカデミーも利用させていただいている。壁がある程度張り巡らされていて、フットサル感覚でプレーできる。すばらしい環境でトレーニングさせていただき、有難い限りである。
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2006年05月21日

代表と交流

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 まさか、代表選手に「こいつは、うまい!」と褒められるとは思っていなかったようだ。リフティングを披露して思わずうなる。ジーコ監督がアカデミー生を呼んで一緒にリフティングをする。非常にオープンな監督で、子どもを愛していることがすぐに伝わってくる。人生は夢を与える存在と夢を見る存在がいて循環しながら進んでいく。代表選手も夢見る少年時代があった。

田植え

b0605211.png あぜ道から田んぼをじっくり眺めるとゲンゴロウが所狭しと水中を泳いでいる。子ども達の一歩目は奇声と共に踏み出された。泥の感触はほとんどの者が初めてだった。カエルが子ども達をあざ笑うかのように鳴いている。デュソー夫妻も子ども達に続けと苗を植え始める。田んぼに時折フランス語が飛び交う。あちこちで笑い声が聞こえる。誰かに押されて泥まみれになる選手とスタッフ。転んでも思わず笑いが込み上げる。あっという間に苗が敷き詰められた。アカデミーの子ども達のために田んぼやお昼ごはんを用意してくれたのは、猪狩新一郎氏をはじめとする、広野町民のみなさん。苗を育て、田んぼに水を張り、線を引く。地の野菜や塩を使った料理が机いっぱいに並ぶ。温かいもてなしに子ども達は素直に感情を表現する。静寂からはほど遠い賑やかな食事になった。
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2006年05月20日

高円宮妃殿下激励

 ひとりひとりの顔をご覧になり、気さくに子どもたちと話される。練習の頻度、地元の子ども達との状況などを尋ねられた。雨が次第に激しくなっていったが、挨拶を交わされた後も夢見る少年少女の練習を頼もしそうに見つめられていた。子ども達は高円宮妃殿下の激励に大いに勇気付けられたようで、トレーニングはデュソー氏がトレビアン(素晴らしい)と叫ぶほど充実したものになった。数年後の成長に、妃殿下も驚かれるに相違ない。
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2006年05月19日

川淵キャプテン激励

 デュソー氏が耳元で「フランスサッカー協会会長のエスカロップ氏はまだクレールフォンテーヌに来たことがないぞ。」と囁いた。嘘か本当かはわからない。ただ、川淵キャプテンがJFAアカデミー福島にかける意気込みに改めて感心したのである。キャプテンは食堂でそっと選手の横に座り、世間話でも始めるかのように選手に語りかける。緊張して食事だけに専念していた選手も、その雰囲気につられ喋り始める。片田舎のプラットフォームで似たような光景を見たことがある。キャプテンは「君たちが相談を持ちかけてこられるぐらいの関係を築きたい」と熱意を子どもに伝えた。
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2006年05月18日

佐藤知事激励

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 人工芝の緑が今日はいっそう映える。青いユニフォームを纏った少年少女が佐藤知事の激励に耳を傾ける。
 「JFAアカデミー福島がお手本としているクレールフォンテーヌに行き、君たちと同年代の子ども達を見てきました。さらに、フランス代表のロッカールームにも入らせて頂き、ジダンやアンリのユニフォームを見て感激しました。勉強はしっかりやり、彼らのように国際的に活躍できる選手になってください。」
 知事はアカデミーが目指すべき具体的なイメージを持っていらっしゃる。4月8日の開校式でも述べられていたが、国際社会を積極的に生きる人間育成に力を注いでいる。
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2006年05月17日

田嶋スクールマスターから

 アカデミーの開始からひと月がすぎた。男女とも、さまざまな問題や事故や怪我や病気、学校での問題など、想定内のことが多く起こってはいるが、すばらしいスタートを切ってくれた。
 女子に関しては、今泉ヘッドコーチのいない中、坂尾コーチ、西入GKコーチ、堤コーチが協力し、トレーニングを行っていた。また、U-17日本女子代表監督の佐々木コーチも数日間指導し、選手のモチベーションも上がったようだ。5月の連休が終わり、今泉ヘッドコーチがアカデミーに専念することで、より質の高いトレーニングになってきている。
 男子は、関東遠征を行い、多くの収穫を得た。4月に数回練習を見たときに、デュソー氏、島田ヘッドコーチの質の高いトレーニングを見て、間違いなくこのアカデミーが成功すると確信した。ボールを大切にすること、キックの質に対しての要求が高いということ。この年代の中1の選手たちにこのようなトレーニングをしているところがあるだろうかと感じ、あらためてアカデミーを開始したことに間違いがなかったと確信した。しかしJの下部組織に対してどの程度のレベル差があるのか。私自身、12日の対浦和レッズ戦を視察した。その差を見る重要な機会であった。「0対5か、0対3か」、とスタッフと負けることを想定して話しをしていた。そして、そこをスタートにこの子たちを育成していくんだ、という気持ちでいた。結果はレッズに2対1で勝利した。トレーニングだけではなく試合を見て、アカデミーを始めてよかったと痛感した。しかし、勝ったから思ったことではない。次の3点から、思ったことである。

1.個の強化をはかる:20分を3本行ったが、すべて、ポジションの違うところでプレーしていた。父兄の中には「なぜうちの子がディフェンスなのか」、「どうしてうちの子の好きなポジションをさせないのか」と思った方もいたにちがいない。アカデミーはチームをつくるところではない。したがって、それぞれのポジションに選手がいるわけではない。また、この年代の子どもたちは、さまざまなポジションを行うことで、将来の成長へもつながる。
2.ボールを大切にしていた:キックオフからアカデミーチームはボールを最終ラインへ回す。左から右へサイドチェンジ。右からもくずせず、また中央へ。この年代、いや、高校レベルのチームでもこのようなサッカーをする日本のチームは見たことがない。ボールを大切にするという意識が、このひと月のトレーニングの中で、かなり植えつけられたことを理解することができた。
3.それぞれの技術を試合の中で生かしていた:選手選考の際、もっとも重要視したのは、技術である。体が小さくでも、技術があれば、充分通用する。デュソーさんの言葉を信じ、我々は選考した。どの選手たちも、その状況に応じて、技術を駆使し、局面を打開していた。体が大きくスピードがあっても、技術がなければ世界基準では通用しない。このことはヨーロッパでは当たり前のことなのであろう。
  
 アカデミーがスタートしてひと月、まだやろうとしたことの半分もできていないかもしれない。しかし、今は生活に慣れ、学校に慣れ、トレーニングに慣れることを最優先してきた。その中でこのような成果が見られたことは、スタッフの献身的な努力と、選手たちの努力の賜物である。観にこられた父兄の方も、少し安心されたのではないだろうか。しかし我々は満足することなく、男女ともより一層の努力をし、このアカデミーの成功に向け、日々努力していきたい。

               JFAアカデミー福島スクールマスター  田嶋幸三

2006年05月16日

デュソートレーニング

 4月23日に計ったVMA(有酸素最大速度)を基にエクササイズを行った。簡単に説明するとVMAが速ければ速いほど持久力が高いことを証明する。この数値を知ることにより、個人に特化した持久力トレーニングが行える。今回はVMA70%のランニングで自分のスピードを確認した。4グループに分ける。各グループ、1分間に走る距離が異なる。VMAが速いグループは1分間に走る距離が長くなる。このスピードを体感し理解しておくと、エクササイズで求められた負荷を自分なりに調節できる。つまり、同じエクササイズで各人がスピードを変えることにより、同程度の負荷をかけることが可能となる。具体的に言うと、VMAが17km/hの選手は1分間に283.3m走ることができ、15km/hの選手は1分間に250m走ることができる。このVMAの割合をうまく調整することでそれぞれにあった負荷で持久力を上げていくのである。単なるパス交換でもこの数値を知っておくことで、各選手にあったランニングスピードを要求し、持久力を兼ねたテクニックトレーニングが可能となるのである。

2006年05月15日

オフ

 関東遠征のタイトな日程をこなし、子どもたちは疲労がかなり蓄積している。それを考慮して休暇を与えた。学校から帰って来て、自由な時間を過ごす。ほとんどが寮で休むことなく外へ出かけた。スタッフの予想をはるかに超えた回復能力を持っているのだろうか。「ただいま!」という声が寮に再び響いたのは、夕食前の19時頃であった。

2006年05月14日

関東遠征4日目(ASE)

 自然の中でさまざまな困難にグループで取り組み、解決する。高い壁を全員で乗り越える。最後の一人は自力では登れない。いろんなアイデアを出し合い、チャレンジする。何度も失敗する中である方法が考え出され、成功する。しかし、さらなる難関が待ち受ける。まさに、人生。料理も自分たちで作った。薪を割る係、火をおこす係、野菜の皮を剥く係。飯盒を準備する係。全員で協力して自分たちの食事を準備する。今回の遠征でお互いの長所、短所を改めて発見したに違いない。一人の人間として共同生活の大切さを肌で感じ取った。子どもたちの順応、成長は驚くほど早い。
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2006年05月13日

関東遠征3日目(対大宮アルディージャ)

 昨日の厳しい試合のせいで、体が思うように前に行かない。雨が疲労を増す。コンディションはよくない。3分、右サイドを簡単にドリブルで突破され、マイナスに折り返したボールをなんなく蹴りこまれる。3試合連続で早い時間に先制点を奪われる。この傾向がチームの特徴とならなければよいが。大宮は浦和よりもプレッシャーがきつくないので、ある程度ボールを支配できる。16分には、中盤の細かいパスワークから野中がキーパーの位置をよく見てシュートを決める。2本目は19分、平川から見事な縦パスが中盤に入り、幸野、古山、鈴木を経て、野中がミドルシュートを決めた。アカデミーではボールを奪いに行くときに一切退かない。それが相手の前へ行くエネルギーを減退させ、心理的にネガティブにさせていく。15分の3点目は、プレッシャーが相手のクリアミスを誘い、遠藤が押し込んだ。
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2006年05月12日

関東遠征2日目(対浦和レッズ)

 右サイド7番、8番のスピードに誰一人ついていけない。アカデミーの選手は相手の背中を見ながら走るのがやっとである。20分3本勝負の1本目。15分にカウンターアタックで1点を失う。JSCとの試合でも同じだった。中盤が上がりすぎて、ディフェンスの前と後ろに大きなスペースができてしまっていた。ただ、パニックに陥ることなくゲームに持続性を持たせるのがアカデミーの強みである。2本目は両者相譲らず0-0。ボールをよく奪い始めたが、その後に簡単なパスミスでボールを相手に渡してしまう。3本目に入って、アカデミーがボールを支配する時間が長くなった。デュソー氏が「自分たちのテクニックを使いたければ、まずボールを奪いに行け」というアドバイスを体で理解し始めた。11分には野中のショートコーナーから下重が押し込む。18分には幸野がドリブルを仕掛けてセンタリング。相手ディフェンダーのクリアミスを誘い、高橋が落ち着いてゴールネットを揺らす。この試合、安易なロングキックが少なく、中盤で短いパスを回し、広いスペースを有効に活用していこうという意図が両チームに見え、日本の将来を予感させる好ゲームになった。
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2006年05月11日

関東遠征1日目(代表練習見学)

 目の前で代表選手が動いている。10年後にはこのメンバーに入っていたい。夢と目標が手の届くところで具体的なイメージとなり、展開されている。アカデミーの生徒がグランドの外へこぼれたボールを中沢選手に返した。意外にもそのボールは中沢選手の茶目っ気あるインサイドボレーで間髪いれず再び彼の元へ飛んできた。二人は言葉を交わしたわけではない。ボールが二人の間を行き来しただけである。だが、その光景を目にした誰もが中沢選手の遊び心と子どもに対する愛情を感じ取った。
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2006年05月10日

イニシアティブ

 選手は本当によく耳を傾け、忠実に言われた事をこなす。これは非常に評価してよい素質である。しかし、サッカーの世界では不確実性が満載でイニシアティブを取らなければ打開できない場面に何度も出くわす。デュソー氏は日本人の長所はサッカーにおいては短所にもなる、とよく言う。それは、コーチに言われた事を確実にこなす素晴らしい能力が、実は、自分で思考することなくプレーに移ってしまい、自らが行動を決定する機会を削いでしまっているからである。トレーニングではデュソー氏は敢えて選手を混乱させる。選手はこう思っているに違いない。「なぜ、さっきと違うことを言うんだ、決めたルールはどこに行ったんだ!」。もう一度言う。サッカーのゲームでは予測できることが非常に少ない。変化こそ常態なのである。選手がよく考えてプレーした場合には、たとえそれが失敗に終わったとしても賞賛を惜しまない。イニシアティブをとる習慣、それは日本人が世界を目指すときに避けて通れない道であると彼は考える。

「本日の一言」Dusseau.png
<ムッシュー デュソーのフランス語講座>
On ne peut pas faire progresser quelqu’un contre sa volonté.
La motivation est facteur essentiel de la réussite.
(向上させようと思ったら、やる気を削いではならない。その気持ちこそが成功するために不可欠なのであるから。)

2006年05月09日

代表戦

 和室に集合し、日本代表ゲームをテレビ観戦。対ブルガリア。子どもたちは将来自分たちが今とはまったく逆の立場にいることを夢見ている。非常に良い試合を見させてもらった。
 若手主体のメンバーであるブルガリアがストイチコフという強烈なパーソナリティを持った監督に率いられ妥協を許さない本気の勝負を挑んできた。日本は1失点するが、2トップが無尽蔵ランニングでチームを引っ張る。日本サッカーの現状は確かに決定力不足であるが、ここまでボールがないところでの無駄走りを中心とした獅子奮迅の働きでチームを引っ張った例は近年ないかもしれない。子どもたちは簡単にミスを批判していたが、彼らの果てしなく続く動きから熱いメッセージが送られていることをまだ感じられていない。彼らがそれを受け取れるようになるには、まだまだ流す汗の量が足りない。
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2006年05月08日

5月生まれ誕生日会

 5月生まれの誕生日会。4月の時と様子が違う。子どもたちが率先して歌を歌い、乾杯の準備をする。宴が最高潮に達したころ、なんとすいか割りが突然始まった。新聞やビニールを広げてあっという間にトップバッターが大しゃもじを持って目隠しをして回転を始める。周りは抱腹絶倒。3人でも割れず、最後は同じく5月生まれの杉山ママが一刀。拍手喝采でスイカを頂いた。
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「本日の一言」
杉山ママ(寮舎監)の一言杉山ママ.png
 とにかく感激しました。いつも夫と二人だけで祝うのですが、人生で始めてこんなに多くの子どもたちに祝ってもらいました。彼らが「ごちそうさま」と一言感謝してくれるだけで満足なんです。それに、自然と私たちを家族同然に受け入れてくれていることも本当に幸せです。これからもみんなにおいしいと思ってもらえるような食事を作っていきたいと思います。

2006年05月07日

再会

 帰省した日も小雨が降っていた。しとしと降る5月の雨は心に落ち着きを与える。桜が放つ華やかさから、いつのまにか安定した活力を思わせる緑が阿武隈高地を覆っている。
 子どもたちはつかの間の休暇を終え、寮に帰ってきた。仲間との久しぶりの再会で話が尽きることはない。部屋替えを行った。これは決まった仲間同士の馴れ合いを避けることと、誰とでも緊密なコミュニケーションを取れるようにするため。17人とスタッフは家族同然なので、お互いが深い理解のもとに生活する。明日からは学校も再開する。

2006年05月02日

帰省

 久しぶりに自分たちの家に帰る。あるものは空港へ向かった。ほとんどのものが広野駅から東京駅へ自分たちで出て、家に帰る。もう中学校1年生なので、親からは自立しなければならない。家族が迎えに来て、母親が旅行かばんを持とうとした。島田監督はすかさず、「なぜ、お母さんに持たせるんだ!」と選手をたしなめる。デュソー氏は一部始終を見て、深くうなずいた。「親に何でもかんでもやらせるものは、将来がない」。
 それぞれが楽しく過ごすであろうGWだが、我々が与えた課題もしっかりこなしてもらう。一つ目は読書。特に古今東西の文学作品を読んできてほしい。二つ目は地元自慢プレゼンテーション。自分の身近なもの、故郷をどれだけ深く知っているかが問われる。リフレッシュしてきた生徒たちに会うのが楽しみである。
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2006年05月01日

ドイツへのプレゼン大会

 ゴールデンウィーク前最後のトレーニング。スタッフも入り5対5のミニゲーム大会である。67歳のデュソー氏も加わった。失礼かもしれないが、意外に機敏な動きをしていた。ゴールを決める場合、攻める側は相手陣内に、守る側は自陣に全員が入っていなければならない。デュソー氏はしっかり入っていた。それにつられてスタッフも気合が入る。子どもたちは今までの規制から解放されて自分たちで決めた戦い方で勝負にきた。4チームにそれぞれ特徴が出た。ドリブル重視で攻めてくるチーム、相手陣内に入って高い位置でプレッシャーをかけるチーム、パスを丁寧につないでゆっくり攻めるチーム、ポジションを固定して手堅く守るチーム。結局は高い位置で激しくプレッシャーに行くチームが優勝した。このゲームの目的をいち早く理解でき、実践したチームの順当な結果であろう。
 夜はワールドカップ日本対ブラジル戦の1枚のチケットを巡って、プレゼンテーション大会が開かれた。プレゼン大会2日前、作文、プレゼンを要求した途端、希望者が減った。そこまでして行きたくないようである。4人に絞られた。金城、西川、野中、平川である。採点表が生徒17人とスタッフに配られ、合計点数で評価する。評価ポイントは表現力、話し方、外見、態度。自分たちの言葉でよく語ってくれた。他の何をやらせるよりも何倍も効果がありそうな気がした。やはりスキルの前に彼らに「話したい、伝えたいと思わせる動機付け」が必要なのだ。彼らはすでにそれを持っていて、我々大人がうまくその環境を整えてあげることだ。教育とは知識や技術を教え込むことではなく、すでに子どもたちが持っているものを育んであげることなのだ。島田監督は中学校の教員生活が長いのだが、これほどまでに堂々と論理的な発表を聞いたのは初めてだ、と驚きを隠せない。4人に共通して言えることが一つある。全員がお互いを褒め称えていたこと。最終的には野中望が勝ち取った。2006-05-01.png

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