JFAアカデミー福島

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2006年04月30日

自由と規制の間の秩序

 オフの日、生徒は自由に活動してよい。ただし、宿題、部屋の片付けをきちんと済ませてから。子どもたちには自由と規制の間の秩序を学び取ってほしい。自由は行き過ぎると放埓に陥り、規制は抑圧に転じてしまう。つまり理想と現実との平衡感覚を少しづつ身につけて社会で生きるための活力を蓄えてもらいたいのだ。何人かの選手はビーチサッカーをしに岩沢海水浴場へ、また何人かはスタッフ陣とパークゴルフへ、買い物へ。それぞれが楽しい時間を過ごす。自分たちが主体になってルールを決め、環境を整え、遊ぶ。山も海も川もすべて近くで子どもたちを待っている。新鮮な空気を思いっきり吸ってリフレッシュする。19時にはまた団体生活へと戻り、自分の時間と組織の時間を使い分ける。5月2日にはほとんどの生徒が帰省する。その準備をさせ22時30分消灯。ゴールデンウィーク前で疲労も溜まっているのでしっかり休まなければならない。

2006年04月29日

初ゲーム

 アカデミーで11人制かつ他チームと試合をするのは始めて。対戦相手はJヴィレッジサッカースクール。20分3本勝負。結果から言うと、1本目2-1で勝利、2本目0-1で負け、3本目5-0で勝利。合計7-2である。アカデミーでは大会に勝利するためのチーム作りではなく、一人でも多くの選手を日本代表に送るために活動している。つまりここでは目先の結果は問わない。ただし、良いプレーができていたかどうかを個人と組織にわけて評価する。この試合では、第17回のデュソー氏の言葉がそっくりそのまま教訓として挙げられる。自分たちがいくらテクニックを持っていても、ボールを持っていなければ何もならない。ボールを持っていなければ、取りに行く。しかも、アグレッシブに。3本目はまったく別のチームを見ているようであった。ボールを持っている相手に対して一番近いものがしっかりプレッシャーをかけていく。その動きを見て2番目に近いものが逃げ道を塞ぐ。そして、3番目が・・・という具合に連動して動くのが理想である。ここの意識付けはまだまだ時間がかかるが、彼らの3本目の姿勢が将来を感じさせるものであったことは、付け加えておかなければならない。2006-04-29.png

「本日の一言」Dusseau.png
<ムッシュー デュソーのフランス語講座>
Il faut savoir utiliser son ballon, mais aussi le reprendre.
(ボール扱いは習得しなければならない。ただし、ボールを奪うことも忘れるな。)

2006年04月28日

生活ルール

 自分たちの寮生活規則を再確認するために島田監督、林総務が選手をミーティングルームに集めた。1ヶ月経って、選手は生活態度が雑になり始めた。車の運転でもそうだが、免許取得直後よりも、運転に慣れてきた時期が最も事故遭遇率が高くなる。つまり、注意深さが失われていくのだ。細かいことかもしれないが、起床して掃除に取り掛かるまでの時間、消灯前に部屋に戻る時間が5分遅くなり、洗濯室の衣類が放り投げてあり、トイレのスリッパが脱ぎっぱなし、食事中に茶碗を手でもたない。近年、若者の中には団体生活を経験していない者が増え、他人への配慮、無責任が社会に充満し始めている。他人がいて初めて自分が生きていけることを実感してもらいたい。
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2006年04月27日

須永コーチ誕生日

 須永キーパーコーチが誕生日を迎えた。子どもたちからトレーニング後に祝福の歌。学習旅行で買ってきたお菓子を学校から帰るなりスタッフルームを訪れ、須永コーチに手渡す。レストランの杉山夫妻が喜んでいる。尋ねると、生徒からお菓子を頂いた、とのこと。生徒はなけなしのお金でスタッフに心づくしの贈り物を考えてくれた。優しくて純粋な心を持った少年たちよ、ありがとう。

「本日の一言」
須永コーチより:Suenaga.png
 突然子どもたちから、「誕生日おめでとうございます!」と言われてびっくりした。子どもたちが、学習旅行のお土産をけなげにも自分たちでお金を出し合って、自分のために誕生日プレゼントとして買ってきてくれた。子どもたちが、物としてプレゼントをくれたのも嬉しかったけれど、会って1ヶ月も満たない自分の誕生日を覚えていてくれたことがとても嬉しかった。アカデミーの子どもたちから、早速大切なことを教わった気がする。私は、毎年照れくさくて自分の両親に対して「おめでとう」をはっきり言えていなかった。しかし今年は、自分の両親に誕生日おめでとうと心をこめて言いたい。

2006年04月26日

失敗をおそれずに

 久しぶりに普段のトレーニングに戻る。また、いつものように島田監督が指揮をとる。子どもたちの顔が生き生きするのはやはりゲームである。しかも、ルールを複雑にしないでシンプルに、サッカーをやらせる。誰が攻撃に参加しても良い。ただし、守備もしないと点を取られてしまう。各自で人数にバランスが生まれ始める。いつも同じスペースを使っていると相手によまれる。シュートを試みる。ドリブルを試みる。失敗はアカデミーでは成功するための不可欠な要素と考える。チャレンジして失敗するのは当たり前。失敗をさらけ出さない生徒はアカデミーに入ってほしくない。スタッフは勇気を持ってチャレンジする子どもたちに将来を感じるのである。

「本日の一言」Dusseau.png
<ムッシュー デュソーのフランス語講座>
L’apprentissage, c’est l’échec avant la réussite
(駆け出し時期、それは成功するまでの失敗を重ねる時期である。)

2006年04月25日

結婚記念日

 本日はデュソー夫妻の結婚記念日。46周年。フランスでは50周年を盛大に祝うらしいが、今回はスタッフがちょうどたくさんいるので、あるレストランの2階を借りきって夫妻を迎えた。質問タイムでは、夫妻へ結婚生活が長く続く秘訣を聞いた。奥さんは時間が早くてあっという間に過ぎていくので秘訣なんてないわ、と。デュソー氏曰く、人生にはプロフェッショナルとそうでない時間があり、お互いがそれを理解していることが大切だという。サッカーの世界では家庭に時間が多く割けないケースも多い。夫妻の会話を聞いていると奥さんあっての旦那さん、である。男女の仲における真理をかいま見た気がした。

2006年04月24日

指導者養成カリキュラム検討

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 指導者養成C級ライセンスカリキュラム改訂のために、ナショナルトレセンコーチがグランドに集結した。指導方法について方向性と内容を検討するためである。このプロジェクトにアカデミーの生徒が参加してくれた。子どもたちが行うエクササイズを通してコーチ陣が討議をする。グランド上では様々な意見が交わされる。選手の能力が高いために、エクササイズの効果が短時間で現れ、非常に修正しやすい。しかし、一方でここまでのレベルに達していない状況も想定していかなければならず、コーチの議論は尽きることがなかった。選手、コーチのみなさん、明日も頑張りましょう。
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「本日の一言」Dusseau.png
<ムッシュー デュソーのフランス語講座>
Pour l’éducateur, c’est transformer l’échec en réussite.
(コーチは、失敗を成功に変える職業である。)

2006年04月23日

フィジカル測定

 フィジカル測定。項目は50m走、ジャンプ、持久走。2週間トレーニングを積んできて疲労が溜まっている中の測定であった。A代表チームスタッフである早川、里内氏によるフィジカル測定の説明を受ける。他人と比較するためではなく、現状の最大限のパフォーマンスを数値化して、より向上を図る。13歳~15歳までに有酸素能力を高めておかなければ、それ以後の伸びは期待できない。ジャンプについては13歳での数値はそれほど重要ではない。筋肉量が数値を左右するためである。スピードについては先天的なものが大きく影響する。しかし、忘れてはならないのが選手の質を判断するのはあくまでもテクニックである
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2006年04月22日

コミュニケーション

 コミュニケーションスキルの授業で三森先生は「なぜ」を問うことに対して大人が抑圧してきた日本の習慣を指摘する。子どもは小さいころに「なぜ」を自然に求めるが、年齢があがるにつれて「なぜ」を問いすぎると世間から嫌われると教えられてきた。デュソー氏はそれを受けて、フランスでも同じような弊害があるとして次の話をする。フランス教育は他人とは違う意見を持つよう奨励しすぎて、何事にも自動的に「NON」を言い過ぎるようになった。他人と同調できない人間が増えた。そこで、彼は三森先生のコミュニケーションスキルに「なぜ」の前に「しっかり考えること」を要求する。何でもかんでも「なぜ」ではなくて、まずは他人と自分の意見の違いについて分析してみることが大切である、と指摘する。さらに、彼は続ける。こういったコミュニケーション技術獲得も大切だが、一番大切なことは他人と話をしたい、他人に何かを伝えたい、他人を理解したい、という気持ちである。国際大会では世界各国の人間が集まり、意思伝達には身振り、手振り、筆談しかない。文法や正しい言葉遣いは二の次になる。日本人に足りないところはまずはこの部分なのではないか。世界の情勢にもっと敏感になることではないか、と。デュソー氏の意見に私も賛成である。日本人のコミュニケーションスキルの問題は、国民性もあるが、「自立」という言葉がポイントになると思われる。他人任せの態度が大人からも子どもからも社会を積極的に生きてやろうという活力を奪っている。人任せになり活力が失われると他人に対して無関心になる。自分だけの関心に終始してしまい、人間の人間たる所以である言葉による意思伝達をいつしか蔑ろにしてしまうのである。

「本日の一言」Dusseau.png
<スキルの前にコミュニケーションで大切なこと> M.Claude DUSSEAU
1.周りの仲間は自分を助け、自分の夢を実現させてくれる。
2.誰かが問題を解決してくれることを待っていてはだめ。
3.よりよく理解するために集中すること。その機会を大切に。
4.行動がより効果的になるように考えること。
5.仲間の意見が自分とは違っていても、その意見を大切にすること。
 
<大事なキーワード>
・耳を傾ける/見つめる/理解する/興味を持つ/疑問を抱く
・外に向けて心を開く/きちんとした言葉遣い、態度で質問をすること/何かほしいときにはまずは何かを与えること
・自分、他人の性格を大切にすること/失敗は成功のもと

2006年04月21日

授業参観

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 スタッフ全員で授業参観。子どもたちの学校生活、主に授業風景が非常に懐かしい。A組は理科で花の仕組み。花を各自がピンセットで解剖して柱頭、がく、子房、胚珠などを確認。解剖されたものが後ろの保護者に渡される。もう何年も前のことで忘れていたが、改めて観察すると花の複雑な仕組みに驚く。B組は数学で正負の計算。絶対値は距離だから+、-を取るのよ、絶対値8=+8ではないのよ、と説明されてもチンプンカンプンの子どもたち。C組は英語。ネーティブテープに合わせてカルタをしながら単語を覚える。遊び感覚で、なおかつ反射神経が要求されるので記憶するには非常によい方法。校長、教頭先生も子どもと保護者の様子を見て回る。アカデミーの子どもたちの振る舞いは寮内でも学校でも同じ。先生も我々も悩みは共通しているようだ。

2006年04月20日

ジダンも少年の頃は

 夕食前、フランス育成システムに関するドキュメンタリーを流した。アカデミーが模範とする育成センターの概要を紹介したものだ。ジダンがカンヌの育成システムで育った感想を述べるのだが、彼が子どものころに感じていたことは、いつの時代もどの国でも変わらないものなのだ。ある雑誌で次のような話を読んだことがある。ジダンは13歳で親元を離れ、一人泣くこともあった。週末に家族の元に帰り大好物のクスクスを家族全員で味わう。しかしそんな楽しいひと時も束の間で日曜日の夜には育成センターに戻らなければならない。カンヌに向かうバスの中で食べられるように、母親が好物のクスクスをもたせる。バスの一番後ろに座り、母親が小さくなるまで窓越しに笑顔で手を振る。涙を母親に見せて心配させたくなかったからだ。クスクスは涙の味。ジダンは今でもあのときの寂しさを忘れていない。

2006年04月19日

続・デュソー氏のトレーニング

 3回目のデュソー氏のトレーニング。子どもたちがオーガナイズ、リズムに慣れてきた。順応は本当に早い。私もパリサンジェルマンで12歳の子どもたちを教えていたからわかるのだが、言葉よりもジェスチャーと目線と感情に子どもたちは注意をむける。極端なことを言えば、サッカーボールさえあれば話さなくても通じてしまう。フランス人が日本人を教える場合も同様である。言葉がわからないというハンディは実は、相手の言っていることを理解しようとする積極性を生み出す。子どもたちにはできるだけ通訳の言葉ではなく、デュソー氏の「想い」を直感で受け取ってもらいたいと思っている。そのベースとしてデュソー氏が常に強調する事柄を以下に挙げてみた。これは、フランスで教えられることも含まれているが、日本人に見られる短所も修正するための事柄である。

1.ボールに寄る(後ろにいる相手にインターセプトされないように)
2.ボールがないときにマークをはずす動きをする(相手から離れる)
3.広がる(サイドなど、ある程度フリーになれるスペースを見つける)
4.コントロール、パス、ドリブルをする前に首を振って周りを見る(ボールばかり見ない。顔を上げる。味方、相手の位置を把握。パスコースをあらかじめ2つ以上決めてからボールを受ける)
5.ボールを常に動かす(コントロール時も)
6.強いパス(乾いた音がするようなインパクトで。ボールが芝との摩擦でコロコロ転がって弱くなるようなパスではなく、芝の上をかすめるか、すれすれの状態で)
7.正確なパス(体のバランスを崩してまで常にダイレクトプレーをする必要はない。慌ててプレーしない)
8.パスを選択(まず前へつっかけるようなドリブルをするのではなく、チームでボールを保持することを考える)
9.常に動く(足を止めない)
10.動くからパスが来る(パスが人を動かすのではない。言葉ではなく走るという動作で要求することも覚える、止まって要求しない)
11.ディフェンスする時は下がらず積極的に寄せる(下がると相手にシュートするスペースを与えてしまう。相手がボールを保持している場合は積極的に取りに行く)
12.ディフェンスラインでは落ち着いたパス回し(サイドチェンジなどで攻撃の準備、展開するためのリズムづくり)
13.どんなポジションでもまずは守備の意識から
14.攻守の切り替え

 これらの事項を全て一度に意識させると頭がパンクしてしまうので、1週間で1つ頭に入れてもらう。よって、最短で14週間後に初めて全てを意識できるようになるのである。徐々に段階を追って教えていくことが重要である。

2006年04月18日

クロード・デュソー氏

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 デュソー氏は13歳~15歳年代における育成のプロである。この年代に必要なこととしてテクニック、スピード、持久力の3要素があげられる。常にボールを扱いながら持久力トレーニングも、スピードトレーニングも兼ねる。しかし、最も評価されている点は彼が教育者であることだろう。トレーニング中にも時々人生訓を混ぜる。グランド上の出来事と人生をリンクさせて子供たちに語りかける。時には厳しく。それは社会が厳しく困難な場面の連続であるから。フランスでは、育成年代のコーチは「educateur(エデュカトゥール)」と呼ぶ。英語でいうところのエデュケーター、つまり教育者を意味する。

2006年04月17日

デュソー氏のトレーニング

 今日から1週間はデュソー氏がトレーニングをする。67歳と高齢ではあるが、JFAアカデミー福島のために、いや、ひいては日本サッカー界のために昨年12月に腰の手術を済ませてリハビリも行い、コンディションを整えて来日した。フランスサッカー協会が持つ9つのサッカー国立学院(INF)のうち、一番最初にできた学校がヴィシー校。立ち上げのときから彼は関わっている。それだけに、このアカデミー福島の重要性を我々日本人スタッフよりもよく理解していると言える。彼が手がけたフランス人選手で最も有名で比較される二人といえば、努力家アンリ、天才アネルカである。入学当時、アネルカの才能は誰もが目を見張ったという。一方のアンリは足だけは速かったが、テクニックはそれほど驚くものではなかった。ただ、彼は完璧主義者で、納得のいくまで繰り返し繰り返しトレーニングし、常に何かを学びたくてうずうずしている子供だった。現在のアンリとアネルカの差を見ていただきたい。努力しなかった天才と努力した天才。さあ、その二人の育成に関わったデュソー氏のトレーニングを受けてアカデミーの子どもたちはどのように受け止めたのであろうか。

「本日の一言」Dusseau.png
<ムッシュー デュソーのフランス語講座>
Quand on a une bonne technique, on ne perd pas le ballon.
(よい技術があれば、ボールは失わない。)

2006年04月16日

日曜日

 午前は9時~10時まで宿題タイム。それぞれが課題をこなしていく。少なくとも2人のスタッフが彼らの疑問にこたえるべく、スタンバイしている。しかし、質問する前に一度自分なりの答えを出させて、アドバイスする。子供たちがわかったつもりになっている場合もあるので、スタッフが時には声をかけて確かめる。学校でテストがある場合には事前テストも行う。生徒が学校だけで理解できない部分を補い、理解がはやい者にはどんどん前へ進んでもらっている。2006-04-16-a.png
 午後はフリータイム。自由に自転車などで外出してもらう。ただし、昨日も書いたが最低限の約束は守ってもらう。何人かを天神岬のしおかぜ温泉に連れて行った。1週間の疲労除去が目的である。午前は雨だったが、午後から晴れて露天風呂から望む太平洋が青よりも青く輝いている。ある選手は仁王立ちで潮風に吹かれながら海を眺めている。その後姿がいかに頼もしかったことか。大自然はいかなる教師をも陵駕する。
 夕方17時から夜ノ森公園に全員で出動。桜のトンネルがライトアップされていて、日本の春を初めて見るデュソー夫妻はお気に入りのデジタルカメラが手放せない。島田監督は奥さんと娘さんを連れて家族と心温まるひと時を。須永キーパーコーチも奥さんを連れて屋台を回る。レストランの杉山夫妻も水入らずのひと時を過ごしている。子供たちが少しでもさびしい思いをしないように身近に家族の存在を見せておくことは必要である。

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「本日の一言」
総務の林より:Hayashi.png
 わからないことは、そのままにしない。我々スタッフが一緒に考え、納得のいくまでサポートします。サッカーも勉強も基本が大事。

2006年04月15日

フリータイムに外出

 午前のトレーニングが終了し、子どもたちが待ちに待った午後のフリータイム。スタッフ陣による外出前レクチャーでしっかりと安全を確認。外出先、外出時間、帰寮時間、携帯番号を連絡ボードに記入して、出発。それぞれが自由に外出場所を選ぶ。寮で日頃実行しているルールが果たして一般の社会にも適用できるかどうか問われる。

2006年04月14日

女子の明るさ

 グラウンドにはすでに女子が16時30分からトレーニングを開始していた。女子の明るさには驚かされる。Jヴィレッジあたりから、姿は見えないのにグラウンドまで声が聞こえる。その声が徐々に近づいてきて、自転車の集団が現れる。23人がいっせいに自転車で移動し、大騒ぎでやって来る姿に、デュソー氏は「le Tour de France!(ツール・ド・フランスだ!)」と喜んでいた。女子はグランドに到着するなりセンターサークル付近にいる彼をみつけて、「Bonjour !(こんにちは!)」と気持ちよい挨拶を送る。精神的な成長の違いなのか、異性間の特徴差なのか、他人との距離が女子は遠くない。誰とでも積極的に物怖じせず興味を持ってコミュニケーションを取ろうとする。彼女たちからわれわれも学ぶことが多くある。

2006年04月13日

校長先生

 広野中学校校長がそっとグラウンドにやってきて、遠くから子供たちをみつめる。校長は日本体育大学の体操部にいて、あらゆる器械体操をこなした。それだけに、一目見て子どものコーディネーション能力がわかるらしいのだ。スポーツは違うが、関節、筋肉などの動かし方に共通する要素が含まれているとのこと。西校長は笑顔が優しくて、物静かな先生である。しかし、腕を組んでグランド上の子どもたちを見る目つきは、指導者のそれである。つまり、積極的に分析しているのである。子どもの性格をプレーの質で見抜く。さらに、学校生活の行動パターンとも照らし合わせる。「あの子はうまいな~」という一言にも西校長のスポーツ選手、体育教師としての経験がうかがわれる。

2006年04月12日

体育館でのトレーニング

 昨日に引き続き外は雨。体育館でのトレーニング。人工芝と違い、シューズにかなりのブレーキがかかるが、ボールはつるつるすべる。環境ががらりと変わり、体の使い方、コントロールの仕方、ボールの扱い方に微妙な差が出てくる。こういった場所では足の裏でボールを抑えるコントロールが有効になる。しかも、ディフェンスからのプレッシャーが来ることを考えると動きながらそれを行う必要が出てくる。バルセロナのシャビがよい例であろう。ブラジル人やアルゼンチン人などが吸い付くようなボール扱いをするのはフットサルを数多くこなす習慣があるからである。我々アカデミーが気をつけなければならない点がここにある。環境を一様に整えすぎると、子どもの環境適応能力が下がってしまう。ましてや、人工芝でボールが弾まない環境はある程度のレベルまでは有効かもしれないが、デコボコのグラウンド、アスファルト、砂浜など様々な場所でプレーできなければならない。私の尊敬するあるプロコーチはサッカーを次のように表現する。「ボールが弾み、足で扱うからこそ、不確定要素が多いスポーツ」。

2006年04月11日

4月生まれ誕生日会

 食堂が暗い。最後の4人はいつもと見慣れない様子に躊躇したが、暗がりに他の仲間が座っていることを確認して恐る恐る足を踏み入れる。拍手がわき起こる。「おめでとう!上野、下重、野中、西川!」食堂スタッフのみなさんが散らし寿司、ゴーヤチャンプル、エビチリ、マカロニ、サラダ、揚げパンなどを用意してくれた。4月生まれの誕生パーティー。デュソー夫妻もかけつけた。4人にはクレールフォンテーヌの生徒しか着れないユニフォームやパンツをプレゼント。羨望のまなざしが4人に向けられる。ただそれも一瞬のことで空かせたお腹に一気に料理をかきこむ。我先にと箸を伸ばし、ジュースと一緒に流し込む。そんなに急いで食べるとお腹をこわすぞ、とは思いながら彼らの食欲を削ぐのも気が引ける。あっという間にほとんどの皿が空になった。

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2006年04月10日

朝の日課

 朝は6時15分起床で和室に三々五々集まり、脈拍と体重を測定する。アカデミーでは自己管理は全て自分で考えて行動して記録させる。朝はまだまだ寒いので、30人収容できる和室にはスタッフがあらかじめ暖房を入れている。しかし、いずれはそういった準備も子どもたちが行うようになるであろう。測定の後は寮内の掃除。1階と2階の廊下、階段をきれいにしていく。役割分担も自分たちで決めた。その後に各自の部屋を掃除する。まだまだ布団のたたみ方が雑である。きれいにピシッと整えているのは2,3人。今まで行っていなかったことを習慣にするには時間がかかるし、意識付けが大変である。細かいことを言い過ぎるかもしれないが、自分で考えさせるための基礎作りは必要である。何もかも自分たちでやれ、というのは愛情のない教育。ある程度の手助けは自立を促す不可欠な要素である。

2006年04月09日

2人組のパス

 何度も何度も繰り返す。まるで剣道の素振りや野球のTバッティングのように。アカデミーが強調したいメソッドの一つは我々がいつのまにか忘れている正確なフォームによるシンプルな繰り返し。2人組みのパス交換に30分は割いた。日本中どこでも行われるエクササイズだが、要求されるのは「完全な正確性を持った繰り返し」。15m程度の短いパスでも10本中10本狙ったところに、正確なフォーム、強さ、タイミングで行かなければわれわれは納得しない。失敗したときは、足のどの部分にボールが当たって方向が反れたのか、強さは適当であったか、パートナーが要求していたか、など自分で考え分析させる。選手が考えてもわからない時はスタッフがジェスチャーを交えて指導する。パートナーの足元に行くだけが正確なパスなのではない。そこにフォーム、強さ、タイミングを盛り込むことによって、常に動いている状態でのテクニックを身につける。
 午後はアカデミー号に乗り込み、富岡町のヨークベーニマルへ買い物に行った。選手はそれぞれの金銭感覚を研ぎ澄ませ商品を物色。日頃買ったこともないような洗顔フォームを店員に勧められて購入している選手もいた。うんうんと首をかしげて理解しているのかと思いきや、「もう一度言ってください!」と店員を困らせるものも。イベント続きで疲労していた選手のリフレッシュに少しはなっただろうか。

2006年04月08日

JFAアカデミー福島開校式

 JFAアカデミー福島の開校式。選手は制服で自分たちの出番を座席で待っている。子どもたちの晴れの舞台に、感激と寂しさがどうしようもなく入り混じり、頬をつたう涙を隠せない父兄の方々。子どもたちは、しかし、堂々と胸を張り、アカデミー校訓の「夢、誇り、創造、自由、責任」について自分なりの解釈を宣言した。コーチ陣はその様子を見て確信した。1期生から世界で戦える選手が育つことを。常に社会のリーダーとして、自分が得た経験、知識、理解を他と共有し、貢献することを。我々日本人が長年忘れかけていたものを彼らが再び取り戻そうとしている。
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2006年04月07日

歓迎会

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 広野町、楢葉町のサポートファミリーが舞台にならぶ。約20人。町が選手の第2の故郷となり、そこに暮らす人々が選手の親代わりとして子どもたちを支える。町が一体となって、危険を避け、安全に、心置きなく成長して行けるよう、責任を持って見守って行く。農家のおじさん、おばさん、工場で働く人、弁当屋さんで働く人、役場で働く人、様々な分野のプロフェッショナルで町に貢献している方々である。歓迎会の前に立ち寄った広野駅近くのパン屋のおかみさんは、「サポートファミリーに登録しましたよ!子どもが来たら、たくさん食べさせてあげるからね!子どもたちによろしく言っておいてよ!」と厨房の奥から顔を出して満面の笑みで語ってくれた。子どもたちも続いて壇上へ。初めてお互いが顔を合わせた。恥ずかしさと「愛」に満ちた笑顔がサポートファミリーのみなさんから発せられる。父兄がその光景を逃すまいとシャッターを切る。涙を流すお母さん。手を振ってカメラの合図をするお父さん。心配そうに見守る妹。子どもたちは不安と期待を抱えながら、新しい環境に適応し、自立して行く。親の子離れ、子の親離れ。ここは日本サッカー界をリードしていく人間を養成する場。いつまでも甘えてはいられない。みなの愛情を土台にして羽ばたく。必ず、家族、町、サポートファミリーのみなさんに恩返しする事を約束して。

2006年04月06日

初トレーニング

 子どもたちは片膝をつき、靴ひもを締めながらグランドを見つめている。緑色の真新しい人工芝グラウンドがいつもより大きく、美しく輝く。彼らの心中に去来するものは、ただ一言。「ボールを蹴りたい」。

 入学式前、彼らは自転車で寮を出発。全国各地、自分たちの慣れ親しんだ故郷の情景と比較しながら、のどかな田園風景を駆け抜ける。ある選手は、「この景色を見ながら自転車をこぐのは楽しいな〜」と思いをそのまま風に乗せる。入学式は家族、アカデミースタッフが出席し、彼らの大いなる夢への第一歩を脳裏に焼き付けた。大きく環境が変われど、順応していこう、挑戦しようという意欲が目線や歩く姿勢から伝わってくる。

 学校から帰ってきて、子どもたちはゆっくりと昼ご飯を食べる間もなくグラウンドへと移動する。広野町町長によるグラウンド開きでアカデミーの第1回目のトレーニングが開始された。島田ヘッドコーチの笑顔が選手の笑顔を誘い、選手の笑顔が島田ヘッドコーチの笑顔を誘う。昨日、全員が入寮を済ませたあとのミーティングで、クロード・デュソー氏が「笑顔を常に忘れないで。誰が笑顔かな?」と選手を見回したとき、彼らは笑顔を作るのに苦労していた。しかし、ボールさえあれば、仲間さえいれば、彼らは自然とわき起こる喜びを表現する。冒頭の「ボールを蹴りたい」という想いは、われわれスタッフが創りだせるものではないような気がする。これは自然と彼らの内面からわき起こる非常に熱く、動かしようもなく、しかし繊細な欲求である。

 第1回目のトレーニングはスタッフも交えて、ハーフコートゲームで締めくくられた。どんなトレーニングもゲームには及ばない。彼らの自然な想いをより助長させ、成長させ、逞しくする。喜怒哀楽をグランド上で思いっきり爆発させる。ゲーム後は勝者も敗者も称え合う。お互いがパーンと心地よい音を立てて握手をする。彼らの目がこう語っている。

 「楽しかったね。」

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